ぜんまいざむらい

いつか自由に。

羊と鋼の森〜読書感想文〜

 

宮下奈都さんの羊と鋼の森を読みました。

 

恩田陸さんの蜂蜜と雷鋒もピアノを扱った小説でしたがあの本が天才と情熱のピアノとするならば、この本は技術者と穏やかなピアノのイメージ。

 

私も技術職なので、心にくる描写が多かったです。

 

技術ってほんとうにひとっとびに上手くなるものじゃないんですよね。

 

コツコツコツコツひとつひとつの段階をクリアしていくしかない。

 

でもそれよりも大事なというか、それを支えるのが考え方の部分なんです。

 

主人公の周りにはその考え方の部分で成長させてくれる人がたくさんいて、もちろん主人公の感受性が豊かだからヒントをすくい上げることができるっていうのもあるんですが、読んでいてとても勉強になりました。

 

小説としては場面の切り替わりが急すぎるのとラストがちょっとなあ、もうちょっと長くてもよかったんじゃないかなあってかんじです。(誰目線だよww)

 

 

私が本を読むのが好きな理由の1つとして、実世界では絶対に知り得なかっただろう情報を得られるというのがあります。

 

もしこの本を読んでいなかったら、ピアノの調律師という仕事の重要さを知らなかっただろうし、ピアノの中の構造や音の微妙な変化の具合も知らないんですよね。

 

それが見てはないのに知っている。

ウィキペディアのようにピアノの説明が記号的に並んでいるのではなく、物語として、その仕事に携わる人の感情まで知っている。

実際に体験したわけではないのに、実体験として頭に残っているのは、すごい小説のなせる技ですよね。

 

 

中には知らない方が幸せに生きれただろうと思うようなこともあるんですけど、事実を知らないまま幸せと思い込んで生きるよりはいいと思っています。はい。

 

他にも面白い本がありましたら紹介してくれると嬉しいです〜!

 

おしまいまいかぶり